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NASAが54年ぶりの有人月飛行へ アルテミスII、4月2日打ち上げ
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NASAが54年ぶりの有人月飛行へ アルテミスII、4月2日打ち上げ

2026-03-30

画像 NASAの有人宇宙船オリオンが、4月2日(日本時間)午前7時24分に月へ向けて打ち上げられる予定だ。人類が月の近くまで到達するのは、1972年のアポロ17号以来54年ぶりとなる。今回のミッション「アルテミスII」は月面着陸ではなく、月の近傍を通過して地球へ戻る10日間の飛行テストだ。人が乗った状態でロケットと宇宙船が正常に機能するかを確認することが主な目的で、これが成功すれば、2028年に予定されている有人月面着陸へ向けた準備が本格的に動き出す。

乗り込む4人

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搭乗するのはNASAのリード・ワイズマン、ビクター・グローバー、クリスティーナ・コック、カナダ宇宙庁のジェレミー・ハンセンの4人だ。この顔ぶれは、アポロ計画との対比で語られることが多い。月を歩いた12人がすべて白人男性だったのに対し、今回は女性と黒人、そしてアメリカ人以外の宇宙飛行士が初めて月近傍へ向かう。クリスティーナ・コックは2019年から328日間ISSに滞在し、女性だけによる船外活動も行った実績を持つ。月の近くまで飛行する女性宇宙飛行士は、人類史上初となる。カナダ人のジェレミー・ハンセンは戦闘機パイロット出身で、今回が初めての宇宙飛行だ。アメリカ人以外の宇宙飛行士が月近傍に到達するのも、これが初めてになる。

一度延期された経緯

ロケットはすでにケネディ宇宙センターの発射台に据え付けられている。ただし今回の打ち上げは一度延期されている。ロケット上段部分のヘリウム充填に問題が見つかり、いったん組立棟へ戻す作業が必要だった。その後問題は解決され、3月12日の飛行準備審査では全チームが「進行」の判断を下した。また、2022年に行われた無人テスト飛行では、帰還時の耐熱シールドに想定以上の損傷が見つかっていた。今回はその問題を踏まえ、より急角度での大気圏再突入を行う計画となっている。人が乗っている状態での初の実証だけに、この点は特に注目される。

成功すれば何が変わるか

このミッションが成功すれば、2028年のアルテミスIVで日本人を含むクルーが月面に着陸する計画が前進する。失敗すればスケジュール全体が大幅に見直される可能性もある。 宇宙は今、アメリカと中国が月の覇権をめぐって激しく競い合う場となっている。中国も2030年の有人月面着陸を目指して開発を急いでいる。アルテミスIIの打ち上げは、その競争における重要な一手だ。

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