JAXA(宇宙航空研究開発機構)の小惑星探査機「はやぶさ2」が、次の目標天体である小惑星「トリフネ(Torifune)」の撮影に成功したことが、2026年6月26日に明らかになった。JAXAが6月24日に開催した記者説明会で画像が公開され、トリフネまでの距離は撮影時点で約700万kmであることが示された。フライバイ(最接近通過)は2026年7月5日に予定されており、いよいよカウントダウン段階に入っている。
はやぶさ2がとらえたトリフネの姿 現在地から700万km
公開された画像では、トリフネは星像の中に明確な点光源として捉えられており、周囲の背景恒星との比較からその位置が特定できる。700万kmという距離はトリフネのフライバイが現実的な射程に入ってきたことを示す数字だ。はやぶさ2はONC(光学航法カメラ)を用いて天体を追跡しており、今後接近するにつれて天体のサイズや形状に関する情報が得られる見込みだ。小惑星トリフネは日本神話に登場する船の神「鳥船(とりふね)」に由来する名称で、国際的には暫定符号をもつ地球近傍小惑星(NEA)に分類される。
「はやぶさ2♯」ミッションにおけるトリフネの位置づけ
はやぶさ2は2020年12月に小惑星リュウグウのサンプルを地球に届けた後、延長ミッション「はやぶさ2♯(シャープ)」として航行を続けている。このミッションでは複数の小惑星をフライバイしながら、最終目標である小惑星「1998 KY26」への到達を目指しており、1998 KY26へのランデブーは2031年を予定している。トリフネはその道中に位置する観測対象であり、フライバイ時に取得されるデータは小惑星の表面組成や形状推定に活用される。リュウグウのサンプルリターンで実証された精密な軌道制御技術が、今回の接近観測でも駆使される。
7月5日のフライバイで何が得られるか 最接近距離と観測計画
7月5日のフライバイでははやぶさ2がトリフネに最接近し、ONCによる詳細撮影のほか、近赤外分光計TIR(熱赤外イメージャ)などの観測機器を用いたデータ取得が計画されている。最接近距離や通過速度といった詳細なパラメータはJAXAが順次公表する予定だ。フライバイは一過性のイベントであるため、接近前後の短時間に集中した観測が求められる。取得画像や分光データは地上への送信後に解析され、トリフネの物理特性に関する成果として報告される見通しだ。



