JAXA(宇宙航空研究開発機構)は2026年6月26日、小惑星探査機「はやぶさ2」が次の目標天体である小惑星「トリフネ(Torifune)」をカメラで捉えた画像を公開した。撮影時点での距離は約700万kmで、フライバイ(接近通過)の実施は2026年7月5日を予定している。同日には記者説明会も開催され、ミッションの現状が報告された。
はやぶさ2がとらえたトリフネの姿 700万km先の点光源
公開された画像には、星野の中にトリフネが点光源として映っている。現時点では形状や表面の詳細を識別できる段階にはないが、探査機の光学航法カメラ(ONC)が正常に天体を補足していることが確認された。はやぶさ2は2020年12月に初代ミッションを完遂し、小惑星リュウグウのサンプルを地球に届けた後、延長ミッション「はやぶさ2♯(シャープ)」として次の目標天体へ向け航行を続けてきた。トリフネはC型小惑星に分類される天体で、今回のフライバイはサンプルリターンを目的とするものではなく、遠隔観測による科学データの取得が主眼となる。
なぜトリフネか 延長ミッションが定めた観測対象の位置づけ
はやぶさ2♯の最終目標は小惑星1998 KY26へのランデブーで、2031年ごろの到達が見込まれている。トリフネはその航路上に位置する天体であり、フライバイの機会を利用して科学的データを収集するという位置づけだ。C型小惑星は炭素質物質を含むとされ、太陽系初期の環境を保持している可能性があることから、比較観測の観点でも価値がある。JAXAは今回のフライバイをもって、限られた燃料と探査機の状態を維持しながら1998 KY26到達に向けた軌道を継続する方針を示している。
7月5日のフライバイで何がわかるか 観測計画と今後の課題
7月5日のフライバイでは、はやぶさ2の搭載カメラによるトリフネの形状・表面状態の撮影、および近赤外分光計による組成推定が行われる予定だ。最接近距離の詳細はJAXAから追って公表される見通しで、接近時の相対速度や最接近距離によって取得できるデータの解像度が決まる。フライバイ後は速やかに1998 KY26に向けた軌道修正が実施される。探査機は打ち上げから15年以上が経過しており、機器の劣化状況を確認しながらの運用が続いており、7月5日の観測がどの程度の成果をもたらすかが注目される。



